用意した民事調停申立書の提出を断念したわけ【シリーズ20】

民事訴訟が役に立たないと判断した理由

① 無視されたらそれでおしまい。

民事調停のなりたつ基本になるのは、双方が解決を目指そうという意思があること。

これが前提。訴訟にまでせず、というのがその趣旨だろうが、これが落とし穴だ。

相手が出てこないという場合。

端から民事調停そのものが成立しない。

あからさまに言えば、

相手に、「裁判所に行って民事調停に持ち込むぞ」という「脅し」が効くかどうかだけだ。いや、話しを聞くよとならずに、どうぞ、お好きに、わたしは話し合いはしません、ということになれば、民事調停を申し出るだけでも、またそれを開くためにも、素人にはけっこうあれやこれやしなければならない書類づくりや、手配などがあるが、そのはんざつな労力が、一瞬でなし、無効になる。

民事訴訟を相手がどれくらい知ってるかによって、有効性は変わる。

特に、ある程度の場数を踏んだ相手なら、痛くもかゆくもない訴えになる。

 

② 本当に話し合うべき相手とは違う相手を相手に争うことになるケースがある。

今回の場合は賃貸の契約の問題であり、交わした契約書が意味をもつ。

貸主はだれで、敷金の返還を求めるのはだれなのかが大事になってくる。

「退去時の精算」の算出等の明確なものの提出を求めてみても、それは、仲介不動産屋ではなく、あくまでも、貸主(大家さん)に要求することになる。したがって、相手は不動産屋ではなく、貸主。この両者の問題になるようだ。

裏で(あえてそう言うが)動くものは結局相手として指定もできそうにない。なぜなら、そこに不動産屋の介入に関する「特約」など、まあ、普通ないから。

これを無視はできない。

善意のひとを訴える、そういう形をとらざるを得ない。

これはできない、してはいけない。

忸怩たるものがある。

 

③ 当事者に代わっての代理人の認可までがまた一苦労。

手続き、その認可、それをしたからと言って、相手が「出ません」といえばすべてただの徒労になる。

 

④ 時間がかかる。そのうえ、結果が出るかどうかの見通しがつきにくい。

まず初めの調停を開くことが決まるまで1か月。相手に伝えて回答1か月。その挙句「でません」でおしまい。なんだ、これは。

 

⑤ あえて不動産屋を提訴に踏み切ったとしても、(経費についてはそれなりの方策はある)あぶりだされるものが(会社の背景)見えてくれば来るほど、訴訟は泥沼化する危険性がある。

 

⑥ 正統な道順を踏んで勝ち目がこちらにあろうと、どう転んでも、それ以上の「手」を不動産屋は持っている。

 

だから、不動産屋が18万の請求から2万余りの請求にまで下げてきたのをよしとして、これ以上かかわらないのが得策という結論に達した。

両者引き分け、ということで自分なりに自分の「腹の虫」を納得させた。

無益な殺生はやらない。ということで、呑むことにした。

 

今回の件では、実際に動いてみなければわからない知見を多く身につける機会を持てた、その意義は大きいと思う。

 

実況は今回をもって終了とし、また後日、総集編にまとめて、お役に立つ記事にしたいとは思っている。

                                 2020,8,12.記